愛の証



 ああ、まったく僕の可愛い奴隷と来たら貪欲で。僕は最初その毛はなかったのに、今では鞭の振い方も結構サマになってると自惚れてしまう程、道具の扱いにも慣れてしまった。
 通販サイトで日々彼に似合う拘束具を探し、新たな刺激を求める彼の為に、次は何をして責めてやろうかと日々頭を悩ますのだ。
 彼は手足の自由を奪われたまま、媚びる様な目で僕を見上げている。次は何をしてもらえるのかと期待に瞳をキラキラさせている。
 ああ、どうしよう。彼の欲望がこれ程深いだなんて、思ってもみなかった。でも、彼と別れる気にはならない。彼が求めるなら、何でもしてやりたい。ベタ惚れなのだ。
 縛ったり拘束具をつけたり、鞭も振ったし蝋燭も垂らしたし、浣腸もやったし。捕まるんではないかとびくびくしながら露出も何度か。後は何があるだろう?
 僕がSM系のサイトをぐるぐるしてるのを横で見ている彼は、僕の腕に頭をすり寄せる。何か気になる情報でも見つけたのか。
 促されるままページを見ると、和室の梁に吊るされた青年の写真がある。女性物の襦袢を着た美しい青年だ。目線をされ、猿轡も噛まされているので詳しい容貌はわからないが。その周囲に、みっともなく腹の肉をはみ出させた中年の男が群がっている。男達の手には思い思いの道具が握られている。くすぐる為の羽根帚から、グロテスクなバイブまで。
 その写真をうっとりと見つめながら彼は僕にしなだれかかってくる。
 ちょっと待ってくれ。僕はこの青年に彼の顔を重ねただけで嫉妬に狂いそうだった。
 でもこれが彼の求めてる事なのか?
 僕は彼に逆らう事は出来ない。彼は僕を試す様に、ボールギャグをくわえて唾液を垂らした口元をすり寄せてくる。
 ああ、僕の方が彼の奴隷なのだ。
2002.05.30